今回は、茂木健一郎さんの「脳」整理法という本を読み終えたので、まとめます。
本当は書きたい内容が沢山あるのですが、引用だらけになってしまうので、結論部分の解説だけにとどめます。
まずは、本と著者の紹介からどうぞ。
目次
1.本の概要と著者情報
「脳」整理法の著者は、脳科学者の茂木健一郎さんです。
茂木さんは、昔テレビ出演されていたこともありますので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
NHKの「プロフェッショナル・仕事の流儀」に出演されていました。
「脳」整理法は、2005年に書かれた本でして、筑摩書房から出版されています。
世界の中でさまざまな体験を「整理」する脳という臓器について書かれています。
早速、一番の主張とみられる部分を分析してみましょう。
2.偶有性とは
茂木さんの本を読むのは、2冊目になります。
茂木さんの本には、よく「生命の輝き」という言葉が出てきます。
要するに、自分の人生に密着した状態であると、私は理解しています。
今回の「脳」整理法の中でも、この言葉が最後の締めくくりとして使われていました。
「偶有性」を手がかりに人間について考えるだけでも、自分の、そして世界にあふれる他者の生命の輝きが増して感じられることだけは、確かなのです。
「脳」整理法 p.217 l.16-p.218 l.2
あとがきを除く本文の最後の文章が、引用した部分です。
「脳」整理法は、これを伝えることを目的として書かれたものだとわかります。
さて、それでは早速、キーワードである「偶有性」の定義から、まずはみてみましょう。
完全に規則的ではないが、全くランダムでもない、偶有的な状況
「脳」整理法 p.29 ll.13-14
一見ランダムに見えるけれども、実は何かの要素も結果に影響を与えている、そのような関係と考えることができます。
最も偶有的な存在……、それは人間であると考えられます。
家族のことを考えてみてください。
例えば、同じプレゼントをあげるときを想像してみます。
誕生日にあげる場合は、喜んでくれるでしょう。
しかし、実はそれを昨日買ってしまったタイミングで渡してしまったら、不機嫌になってしまうかもしれません。
「私」が行う行動そのものは、プレゼントをあげる、という行為でプレゼントの中身も変わらないものとします。
そうすると、同じ行動を取っているのに、結果が違うことがわかりますよね。
しかも結果を変えている要因は、規則的でもなければ、ランダムでもありません。
誕生日プレゼントに喜ぶ姿は、ある程度規則的ですが、昨日同じものを買っているかどうかは、全くのランダムとも言い切れません。
このように、ランダムなように見えるけれども規則的な要因もあり、しかし完全に規則的ではない状況を「偶有的である」と私は理解しました。
3.根拠のない自信
さて、この偶有性ですが、実は世界にあふれています。
世界にあふれているから、人間の脳は発達を繰り返しながら偶有性に関心を持つように進化した、と考えることもできます。
そのような偶有性に満ちた世界を生き抜くための助言が、「脳」整理法には、書かれています。
その部分を以下に引用します。
感情というものが自律的なものであることに着目すると、「根拠のない自信」をもつことが、偶有的な世界と渡り合うために、案外大切であることがわかります。
「脳」整理法 p.199 ll.5-6
根拠のない自信、というキーワードが出てきました。
一般的に、学生や若者の考え方を指しますね。
私自身も根拠のない自信に満ち溢れていました。
しかし、よく考えてみると「根拠のある自信」というものは、本当に存在するのでしょうか。
太陽は、毎日朝に東から昇ってくる。だから明日も朝が来るという自信を持てる。
これは、一見根拠のある主張に見えます。
しかし、実は何年も前に太陽は爆発してなくなっていて、地球にその影響が未だ届いていないだけなのかもしれません。
これまで毎日東から太陽が昇っていたから、これからもずっと昇り続けるとは、言い切れないのではないでしょうか。
つまり、この世に根拠のある自信など、存在しないのです。
4.自信を持つための処方箋
とは言われても、いきなり根拠のない自信を持つことは、難しいことです。
そのための具体的な処方箋についても、書かれていました。
成功するかどうかわからない、不確実な状況に直面したときに、不安な気持ちを乗り越えてチャレンジし、それが成功する体験が一度でもあると、「不確実な状況下でチャレンジする」という脳のルートが強化され、そのような行動が苦労しなくても無意識のうちにとれるようになります。
「脳」整理法 p.204 ll.2-5
つまりは、成功体験を重ねる、ということですね。
私の母は、スポーツが好きなので、それで考えてみます。
例えば、テニスをしていたとします。
テニスをプレイしていると、相手がコートのぎりぎりの線の上を狙ってボールを打ってくることは、よくあることです。
ボールを打ち返しに行っているときには、このボールがインかアウトかは、はっきりとはわかりません(偶有的)。
それでもインだと思って取りに走りに行くことが、重要だと言います。
どうせアウトだろう、インしたとしても間に合わない、とあきらめると、あきらめ癖がついてしまうから、だそうです。
インだと思ってあきらめずに走っているうちに、ぎりぎりのボールは取りに行くことが普通になります。
このようにして、不確実性に対して不安を吹き飛ばして行動する癖をつける、ということですね。
5.まとめ
さて今回は、茂木健一郎さんの「脳」整理法についてまとめました。
世界は偶有性に満ちているということ。
偶有性とは、規則的でもランダムでもないこと。
世界を生き抜くには、根拠のない自信を持つこと。
自信の持ち方は、成功体験を重ねること。
このようにまとめられました。
今回は、ある程度の長さの記事でまとめるために、かなりの部分を省略しています。
とても興味深い本でしたので、関心を持たれた方は、読んでみることをオススメします!
それでは、また。