こんにちは。本日は休日でしたので、少しゆっくり本を読みました。
本日紹介する本は「10代のメンタルヘルス① 過食症」です。
この間会ったお友達から、ひょっとして過食症では?という相談を受けました。その為過食症についてもっと知りたくて、分かりやすそうなヤングアダルト向けのこの本を図書館で借りてきました。
早速この本を開いてみてわかったことは、その友達は過食症ではなかったということでした。過食症とは、「食べて、吐くことを繰り返す」ことです。その友達は食べるだけで吐かないので、「強迫的に食べまくる過剰な摂食、すなわち気晴らし食い」に当たるようです。どちらも摂食障害ですが、種類が異なるようですね。
気晴らし食いの人は、強迫的にむちゃ食いをします。おなかがいっぱいでも、まだまだ食べつづけます。気晴らし食いの人は、過食症のように吐くことはありません。
10代のメンタルヘルス① 過食症 P.10
しかしその友達も摂食障害を持っていることに変わりはありません。また、過食症に発展することも考えられます。そこで、この本に紹介されていた過食症の前ぶれを引用します。
過食症の前ぶれ
*むちゃ食い。
*食べはじめると、止められなくなる。
*太るのがいやで、食べものを吐いたり、下剤を使ったり、運動をしたり、絶食したりする。
*むちゃ食いをしていないときは、ダイエットをしている。空腹になると、またむちゃ食いをする。
*やせていることが、自分の存在価値にとって重要だと信じている。
*体重と外見にむちゅう。
*おちこんだり、気分が大きく変化する。
*まんびきをする。
*酒、薬物、クレジット・カードをめちゃくちゃに使ったりする。
10代のメンタルヘルス 過食症 P.35
過食症になると、ドラッグに走ったり万引きしてしまうケースもあると知り、ただただ驚くばかりです。
過食症の原因や病気の内容についてこの本では多くの紙面が割かれていましたが、今の私には必要ないので、ここでは割愛します。次に治療の方法をみていきましょう。
治療法も人によってそれぞれであるようです。重要なことは「医者とカウンセラーに頼る必要がある」ということです。当人、また家族や友達だけで解決しようと抱え込まないことが重要なようです。また、摂食障害の専門病棟がある病院も存在するようです。
参考:川崎市内で摂食障害を扱う病院3件
①医療法人社団 実意会 小泉クリニック
②川崎沼田クリニック
③メンタルクリニックエルデ
では治療を始めたとして、どのようなサインがあったら回復したと考えればよいのでしょうか?こちらの本に回復の基準が載っていたので引用します。
回復の基準
むちゃ食いをしても吐かなくなることが、もっともはっきりとした回復のきざしだと言えます。そのほかにもつぎのようなきざしがあれば、回復に向かっているといえるでしょう。
*体重が、普通になるか、普通に近づく。
*女性の場合、生理が順調になる。
*健康的な食べものを、正しい分量食べられるようになる。
*家族との関係が健全になる。
*友達とよい関係が少しずつつくれる。
*問題を解決する能力があがる。
*食べもの、体重、容姿と関係のない活動に、興味を示すようになる。
*自分がどうしていくかを選び、それを実行していく覚悟ができる。
*自己意識とゴール意識がもてるようになる。
*ゴールに到達するための実際的な計画がつくれるようになる。
10代のメンタルヘルス 過食症 P.50
過食症になると体がボロボロになるだけではなく、精神にも影響を及ぼします。鬱のような傾向が出る事もあるようです。鬱はつらいです……。だから精神的な基準も含まれているのですね。
さて、ではもしも私のように誰かから過食症の相談を受けたときにはどうすればよいのでしょうか。この本にはその助言も載っています。
しかし一番に考えて欲しいことは「あなたには過食症を治すことはできない」ということです。私にもショックな一文でした。過食症は他の問題を隠す形で現れた病気なので、過食症だけみていても治らないのです。また、治すには専門的な知識が必要です。医師やカウンセラーを頼りましょう。
それでも友人にできることが「こんなこともできます」と紹介されていました。引用します。
こんなこともできます
*体重や食べものの話題はさけましょう。その人の食べかたについて、注意したりしないように。批判ではなくて、友情が必要なのです。
*容姿の話題もさけましょう。容姿とはまったく関係のないことで、ほめましょう。たとえば、「この前のレポートすごくよかったよ。みんな関心してたよ。」というように。
*過食症の人は、他人を信じない場合があります。だから、拒絶されていると思ってもあきらめないで。過食症を乗りこえた多くの人が、周囲の人のおかげで回復したと言っています。
*たとえば、学校の保険の先生やカウンセラーのような、信頼できる大人に話して助けてもらいましょう。大人は、あなたの友達の過食症に気づいていないかもしれません。
*過食症について知りましょう。知識があればあるほど、手助けになります。
*過食症の友達のささえになることはできますが、治すことはできません。過食症の人が回復するには、トレーニングを受けた専門家の助けが必要なのです。
10代のメンタルヘルス 過食症 P.55
支えになることはできても、大したことはできないという現実がなかなか厳しいものがあります。でも、少しでも助けになるのであれば、知識をもっと深めたいですね。
もしあなたの近くに過食症やそれに近い症状を持つ人がいたら、この記事やこの本を参考にしてみてください。
本日紹介した本
タイトル:10代のメンタルヘルス 過食症
著者:ボニー・グレイブス 訳者:上田勢子 監修者:汐見稔幸、田中千穂子
出版社:大月書店
定価:1800円