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雑記 障がい女児を持つ健常者の母親の方々へ ~障がいがある女性としての生きづらさ~

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この記事のターゲットと目的 

 この記事は「障がい女児を持つ健常者の母親」の方に向けて「障がいがある女性として生きていて感じる生きづらさ」を伝える目的で書きます。

自己紹介

 まず初めに自己紹介をします。私(海野豹)は「統合失調症」精神障害者保健福祉手帳3級を持つ30代前半女性です。診断がついた時期は、20代前半の頃だったので、この病気とは10年くらいの付き合いになります。月に一回はクリニックに通院して、精神薬や睡眠薬、整腸剤などを処方していただいています。診断がついた時には大学生でしたが、卒業して大企業にクローズ(障がいを公表しない就活)で入社し、3年しないくらいにやめて就労移行支援を活用して現在4年目の市役所にオープン(障がいを公表する就活)で働いています。

統合失調症とは

 統合失調症の特性としては、陰性症状と陽性症状に大きく分けられます。陰性症状に該当するものは、疲れやすさや程度の軽い幻聴などです。あくまで私の場合はであって、個人差が大きいので幻視の人もいます。幻聴というと嫌なイメージを持つ人も多いと思いますが、実際には発声されていない幻の声を脳の中で作り出してしまう症状になります。とある人に「右に寄って」と言われた時に、それに被せるようにその人の声で「左に寄って」と言われてどちらが幻聴で実際の発言なのか、わからないという感覚になります。陽性症状に該当するものは、不審な団体に付けられている感じがするとか、幻聴を起点にもっと悪化した状態です。普段は精神薬で抑えているので、陰性症状が主になります。

 私は障がい特性として「疲れやすい」ので、週5日フルタイムで働けなかったり、家事が健常者の方々ほどスムーズにできなかったりします。職場では、週4日勤務で休憩時間を追加でいただいたりしています。家事ができない、を具体的に表現すると、買い物から帰って来て1時間は横にならないと何もできない、とか、疲れているときに献立が思いつかない、などがあります。

手帳を持つメリット ーオープン就労ー

 さて、障がい児を持つ親御さんの悩みの最初の方のステージには「我が子に障害者手帳を取らせるかどうか」という選択があると思います。私は大学生で診断が付きましたので、自分で決定することができました。しかし障がい児の場合は、親御さんが決定することになります。私は、手帳を取ってよかったと思っています。オープン就労が非常に助かる、というのが一番の理由です。私自身はクローズでやっていける気が全くしません。オープンで働きたいなら、手帳は必須です。いや、制度的には必須ではないのですが、現実的には必須です。どういうことかというと、制度的には手帳が無くてもオープン就労に応募することはできます。しかし、雇用者側から見ると、手帳を持っている人しか国の障がい者雇用の数にはカウントされないので、例えば同じ能力の人が同じ会社に応募して、違いは手帳の有無だけ、というケースでは、手帳を持っている人が採用される可能性が高いのです。

オープン就労をする上で必要になる、合理的配慮とは

 オープン就労をするとなると、自己理解を深めて「合理的配慮」の話し合いが必要になります。私が受けている合理的配慮の例としては「追加休憩」「電話対応の免除」などが主になります。この合理的配慮を決めるときに大切なことは、「これはできないけど、こうすればここまではできる」と伝えることです。具体的に電話対応の免除の例でみると「電話対応そのものはできないけれど、内部の人に自分から掛ける事はできる」という感じです。勿論職場によっては「一般の電話を受けられなければ採用しないよ」という職場もあるでしょうし、そういうところは受けられない訳ですが、そこは割り切りですね。私は幻聴があるので、一般的な電話対応は難しいと思っています。この、合理的配慮を伝えることが非常に難しい。今回の電話対応の例はうまく行っている例を引き合いに出していますが、ここまで構築するためには実際に働きながら試行錯誤しました。これから初めてオープン就労で働く、という人がここまでの内容を自分の想像の中で立てて話すことはとても難しいと思います。これもひとつの生きづらさだと私は考えています。「本当は相手が私にどうして欲しいか想像する必要があるのに、ここまで具体的に伝えないと私の自己理解不足と捉えられてしまう。自分がどうされたいか、どうしたら何がどこまでできるかなんて、健常者の人でも理解していない、伝えられない人は沢山いる」と思うのです。

就労面での生きづらさ 

 さて、就労の面では、やはり「働いている人がえらい」のであって「働けない人は落ち込みやすい」傾向にあります。勿論、納税の義務だってあるし、働かなくていいとは言わないけれど、働けない人に対して風当りが強すぎるのではないかなと思っています。ハローワークの専門援助のサポーターの方も、少なくとも私が当たった方は健常者の方で、働かなければダメという考え方でした。なんというのかな、そりゃ働くのですけど、オープンで週4日でもいいと思うのですよね。でも週5日に近づけて、フルタイムに近づけて、最終的にはクローズで働くことが最終目標、みたいなところがあるのです。それは何かちょっと違うかなって思いますね。できる範囲で働ければいいのじゃないかなっていう。無理して症状が悪化する方がよっぽど怖いと思うのですよね。

結婚・出産での生きづらさ

 そのサポーターの方とは、最初はうまく行っていたのです。私も就労したい、できればもっと働けるようになりたいって思っていたから。でも、彼氏ができて結婚の話が出たら風向きが変わって来ました。確かに応援はしてくれるのですけど、要求されるレベルが高すぎると言いますか。健常者の方だって、女性で、働きながら家事して、育児してって大変じゃないですか。それを強要してくるのねって思いました。具体的に表現すると、私の彼氏は遠方に住んでいるので、今働いている職場を辞めて引っ越さないといけません。だから仕事のキャリアも一回途切れて、私自身もオープンでパートの仕事しかできないなって思っているのですね(正社員は視野に入れていないということです)。そうなると引っ越す→就職する(パート)→妊娠(仕事辞める)→出産→子育てしながら就活→就職→保育園を探す→預け先の確保→就労という流れを踏むことになるのが現行の制度です。え……無理ゲーじゃない?って私は思ってしまいます。この前提に立った時に私が「子どもを産んだら働ける気がしない……」って相談すると「そんなこと言っちゃダメよ!皆働いてるわよ!」ってなるわけですけど、その人どこに居るの?健常者の話じゃないの?居るなら目の前に連れてきて??ってなります。だから「こういう制度だから無理だと思うのです」って説明すると、押し黙っちゃう。そこは「こういうサービスがあるから頑張れるわよ」ってアドバイスするのがサポーターの方々の仕事じゃないの?って思っちゃいます。そのまま「働かなきゃダメよ」だけ連呼されても、全然イメージ湧かないのですけど……。

無意識の規範について

 就労の時の合理的配慮と似ているところがあるのですけど、この結婚・出産に関しても「このサービスを使えばここまで私はできる」と主張しなければならないのかなと思っています。それってどんなサービスがあるのか網羅的に個人的に知っていなければできないことだし、何それって思っちゃうのですよね。それに私なぞは3級手帳なので自分でできることが多い方です。家事だって、調子がいい時はお料理もそこそこ作れます。障がい者の世界で結婚とか出産って「自分のことは自分でできる人の特権」的なところがあると思うのです。例えば一人暮らしできるとか、酷く部屋を汚さないとか。でもそれってそもそもできないから障がい者になっているのじゃないのって思います。私も一人暮らしの経験はあるけど、それはもうできないなって色々管理の面で思っていて。例えばもし私が今就労していなかったら、今の彼氏も結婚してもいいよって気持ちにならなかったし、自分の親も反対すると思うのですよね。それって何かおかしくないかって。まだ漠然とだけど思います。

さいごに

 この記事を書いて、別段どうだってことはありません。だから読んだ人はこうした方がいいよ!って言う気はありません。ただ、私の経験はこうだから、ちょっとは気持ちを分かって欲しいなって、そんな気持ちで書きました。もし質問とかがありましたら、どんどん受けたいと思っていますので、ブログのコメント欄でもいいし、他の人に見られたくなければTwitter(X)のアカウントも自己紹介ページに載せてあるので、いつでもご連絡ください。(Facebookは今は稼働していません)。

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