倫理学

人生における幸せとは何かを考える本

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こんにちは。海野豹です。年間100冊を目指して読書記録をブログに付けています。このブログの目標は「毎日1度以上本を開くこと」と「毎日1行以上更新すること」です。

 

それぞれの幸福論

本日紹介する本は「幸福論」という本です。著名人がそれぞれの幸福論を綴った本です。先日哲学系統の「ソフィーの世界」を読みました。その中で人生における幸福とは何かを考えるようになったため、図書館で借りてきました。

100人いれば100通りの幸せがあるものです。幸福論を語るにはある程度の年齢を重ね、酸いも甘いも知る必要があるようです。私にはまだ少し早い本であったかと思います。

 

1.浅井慎平 写真家

写真家の浅井慎平さんは69ページでこう述べています。

 道端に座り込んでいる若者たち。努力することもなく、どうせ俺たちにはできないんだと諦めている。そこには幸せのかけらも落ちていない。「とにかく立て」とぼくは言いたい。立って歩きださなければ、何も始まらない。じっとしゃがんでいても、幸せの種は絶対に降ってはきません。

私はこの言葉にハッとさせられました。私は自分がやりたいことをせずに人生の嘘を吐いています。その背中を後押ししてくれました。また、私が勤める会社の社長と同じようなことを言っているなと思いました。失敗しても良いからまずはバットを振れ、と。

小説家になりたいと思いながら小説を書かない私がいます。そして向いていない仕事に毎日疲弊しながら働いています。この浅井さんの言葉を少し変えて、「とにかく書け」と言われたような気がしました。小説家になりたいなら、とにかく作品を完成させることです。勿論、私には溢れる才能があるわけではありません。三題噺一つ取ったって、私よりきれいな物語を書いてしまう人を知っています。

しかしそれでも書くのです。書くことが好きならば、批判されも書くはずです。そして批判を受け止めてより良い作品を残そうとするでしょう。私は転職という大きな一歩をきっかけにして、人生の嘘から脱却したいと思います。

 

2.瀬戸内寂聴 作家

作家の瀬戸内寂聴さんは171ページでこう述べています。

 目には見えない人の心に思いを馳せ、互いを思いやる気持ちを忘れないこと。不条理な世の中で温かな幸せを見つけるには、それしか方法がないのです。

相手の立場になって考えることは、とても難しいものです。誰にでも出来る事ではありませんし、却って思い違いをしてしまう事もあるでしょう。しかしほんのちょっとの想像力で人生が豊かになるのですね。これからご飯を食べる時には、作ってくれた人や運んでくれた方に感謝の気持ちを持つようにします。

人間関係というのはとても難しいものです。例えある人が意見を言ってくれたとしても、それが本音であるかどうかをこちらが判断することは実際にできません。しかしそれを想像して感謝の気持ちを伝えること、それこそがコミュニケーションなのかもしれません。

承認欲求という観点からも、感謝の気持ちを伝える事の意味は大きいです。大げさに言えば、人間は他人に感謝されるために生きているのです。他人から感謝されないのであれば、自分で自分自身に感謝するのです。そうすることで幸福を手に入れることができると述べた心理学がありました。

 

3.さだまさし シンガーソングライター

シンガーソングライターのさだまさしさんは227ページでこう述べています。

 さあ、ポケットから小さな幸せを取り出して、それを温度のある言葉でみんなに伝えてみよう。「生きるって楽しいね」と家族で笑い合ってみよう。ほんわかとした気持ちと、明日への希望が湧いてくるから。

私と私の母はさだまさしさんが好きです。私自身が曲を聴く事は少ないのですが、NHKの深夜番組などを観ては好きな人だと思っています。

さだまさしさんは幸せが既にみんなのポケットに入っていると言います。失くしたものを数えるのではなく、今まだポケットに入っているものを数えた方が幸せです。そして小さな幸せを共有する。そんな温かい毎日が幸せになる近道なのかもしれません。

私は精神病を患っています。精神病患者は失ったものを数える傾向があります。しかし、失ったものの数だけ得たものがあるはずです。得たものや今持っているものを数えることができれば、私の精神病も回復に向かうのかもしれません。

 

4.夢枕獏 作家

作家の夢枕獏さんは、山小屋で働いた時の経験から得たこととして、次のように述べています。

 そんな人たちと出会って、どんな生き方をしてもいいんだというのが分かっちゃった。何も無理して時代に迎合することはない。自分のやりたいことに正直に生きるのが一番だって。もし小説で生活できないなら、また山小屋で働けばいい。とりあえず好きな登山をしながら小説を書く。そう覚悟を決めたら、楽になっちゃって。

この文章はやりたいことをしたいと思っている私にとって大切な文でした。特に、作家になりたいと思っている私にとって、作家の夢枕獏さんのこの発言はとても大きいものです。

作家になりたいと思っているのにパチンコ屋で働き、忙しさを理由に作品を書かない…。明らかに人生の嘘です。今はこのブログという作品発表の場もあります。作家としての才能や力量には不安がありますが、だめならだめでやってみて、だめなことを認めて修正をかけていく。これこそが私のやりたいことなのです。そして作品を作る為の練習として三題噺からやってみる。とにかく書いて鍛錬する。そのような習慣を付けて行きたいなと思いました。

 

5.桂三枝 落語家

落語家の桂三枝さんは250ページで次のように述べています。

 落語の作品も自分の人生も、永遠に未完成なものです。しかし、未完成だからこそ稽古をしようとするし、未完成だからこそ頑張って生きようという気持ちになる。幸福ということで言うならば、完成した幸福感よりも、完成に向かって走り続ける幸福感のほうが大きい。それが幸せの熱というものだと思います。

これはアドラー心理学に通じる考え方です。アドラーも人生を山登りではなく、ウォーキングに例えています。人生とは踊り続ける事です。刹那の連続です。山の頂上にたどり着かずに亡くなるなど悲しすぎます。だからぞれぞれの速度で少しずつ自分の幸せを感じて行けば良いのです。

この考え方をとると、完璧主義という考え方は不幸を呼ぶ考え方だと思われます。何故ならきっと完成しないものを延々と作りながら、完成しないと憤っていることになるからです。

ところで、完成に向かって走り続ける幸福感とありますが、何が完成に当たるのでしょうか?落語にとって完成とは、すべてのお客様にウケる会話術などになり、そしてそれは存在しないのでしょう。しかし人生にとっての完成とは何でしょうか?私たちはどこに向かって走れば良いのでしょうか?

足りないものを補うより、長所を伸ばせ、という風潮がありますね。このことから人生における完成とは、足りないものがない状態ではないと推測されます。では何なのか…それを考えることもまた幸福論なのかもしれませんね。

 

6.九重貢 力士

元横綱の九重さんは259ページで次のように述べています。

 でも私自身が最も誇れるのは、横綱になったことでも、三一回の優勝でもない。相撲という一つのことに完全燃焼したことです。決して自分に負けなかったということです。この誇りがある限り、私は人生に立ち向かう勇気を持つことができる。どんな状況になっても、必ず幸福への道を見つけることができる。

九重さんは力士として最高の栄誉であるであろう横綱や優勝記録よりも誇れることを持っています。それは一つのことに完全燃焼したことでした。

私自身も大学4年間を勉強に充てて完全燃焼しました。総代という結果を残す事もできました。でもそれは私一人ではできなかったはずです。大学3年次に私はゼミの教授に叱られたことがあります。それは私が目的を忘れてさまよっていたからでした。その時に目的の大切さを実感しました。

今、私は転職を考えています。それも目的を忘れてしまったからなのかと思います。一過性のものかとも思いました。でもこうして少しでも良いブログを書こう、作品を形にしようとしていると、一過性のものではないと思えてきます。

今の職場で働きながら小説家になれれば一番良いのですが、それは私の持病が許しそうにありません。もっと体に合う仕事ややりたい仕事を探して完全燃焼したいと思います。

 

まとめ

さまざまな方の幸福論をみて来ました。芸能人の方々が多いせいか、皆さん好きなことを突き詰めた方が多かったですね。私とは異なった考え方です。私は嫌な仕事をしながらも趣味で好きなことをする道を選びました。しかし今はそれを後悔しています。これから好きなことを突き詰める生活にシフトチェンジしたいと考えています。

他の著名人の方の意見も引用したかったのですが、引用が多くなりすぎてしまうことと時間がかかりすぎる関係でこの記事はここまでとしたいと思います。私の家の近所の図書館で借りられたので、皆さんも図書館で借りることができると思います。偶には本を読んで自分の幸福論とは何かを考えてみるのもいかがでしょうか。

以上、「幸福論」のレビューでした。

 

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