嘘じゃない。
なにもかも、
あたしたちがみてきた事実で、
全部ほんとうのことーー
表紙をめくると現れるこの文章で始まる児童文学の本「ヘヴンアイズ」。こちらの本の紹介を今回は行いたいと思います。
タイトルのヘヴンアイズは直訳すると「天国の眼」。果たしてどういう意味なのかは読み進める内に明かされていきます。
この本の主人公たちには家族がいません。孤児院に入れられた子供たちが主人公となります。私には母はいますが、父は幼い頃に離婚していません。だからといってこの主人公たちの気持ちがわかるとは言えませんが、少し感じるところがありました。この本の著者であるデイヴィッド・アーモンドさんはどのようにしてこの孤児の子ども達の心境を描いたのかが気になります。
この本には目次がありません。表紙をめくるとすぐに本文の第一部が始まります。これはとても良い手法だと思いました。本の良くないところは厚さで何となく展開が読めてしまうところにあります。さすがに厚さはどうにもなりませんが、目次がないため第何部まであるかがわからず、何の前情報もなしで読み進めるとドキドキとスリリングな体験をすることができました。
最後の展開を私は予想することができませんでした。読み終わりがとてもすっきりしています。読み終わってから眠ったのですが、とてもすっきりした気分で眠りにつくことができました。
この本の登場人物たちには、それぞれ良い所が存在します。主人公と反りが合わない孤児院の管理人にも、最後にはスポットが当てられます。奇妙な老人も、意外な最後を遂げます。不思議な世界観で進んで行くストーリーに引き込まれ、最後には意外性を持ってくる上手さがあります。
また、章が短く区切られているため、少しずつ読み進めたい方にも親切な設計になっています。私は一気読み派なのですが、小休止を入れるために細かく区切られているところが良いなと思いました。
この本は児童文学です。現実と想像が入り混じっている表現があります。この本の不思議な世界を当たり前のように受け止めることができる時期は子どもの時期だけです。大人になってから読む感想と、子どものときに読む感想は違うだろうなと思いました。
以上、「ヘヴンアイズ」の感想でした。これからも海外文学の本を紹介できたらよいなと思います。ありがとうございました。
紹介した本
タイトル:ヘヴンアイズ
著者:デイヴィッド・アーモンド 訳者:金原瑞人
出版社:河出書房新社
定価:1500円