本日紹介する小説は「愛川晶」さんの作品である「ヘルたん」です。
ヘルパー×探偵なので「ヘルたん」。分かりやすいネーミングですね。
主人公は学生時代を不登校のまま終わってしまった男性です。恋に疎かったり就職に苦労したりする描写があります。
ヒロインは主人公と同じ高校の先輩です。明るい性格のヒロインですが、徐々に暗い背景が綴られて行きます。
そして目玉の探偵さんは、おやおやアルツハイマー病です。昔は探偵として有名だったそうですが、現在は病気と戦っています。一見、問題がないのですが、こちらも徐々に病気の進行が明らかになって行きます。
物語はこの三人を中心にヘルパーの周りで起きるちょっとした謎を解決していく形で進行します。「ヘルたん」は続編も出ていますが、今回は前作だけ読み終えました。一巻目に当たる「ヘルたん」は三部構成になっています。
部が進む毎に内容が深刻になり、扱う内容が探偵物チックになって行きます。最後の展開は全く予想できませんでした。是非衝撃を体験していただきたいです。
推理そのものはなかなかでした。主人公が分かったとしても、そこで読者も気づくべきなのかどうかは場面に左右されました。また、理屈を説明されても納得できない場面や、証拠が何もない形で進んで行く推理に疑問の余地があるような気がしました。
しかし最後の展開は本当に面白かったです。最後のモノローグできちんと続編について触れている所もグッドです。続編は読むつもりがなかったのですが、少し気になってしまいました。近いうちに読むかもしれません。
不登校になってしまった方やそのご家族、またヘルパー関係の方に読んでみていただきたい小説でした。