三題噺

三題噺 帰省

投稿日:

久しぶりの帰省だ。

親の反対を押し切って会社に就職してから約1年半が経った。

結局体を壊して戻って来てしまった。

「ただいまー」

「おかえり!」

一軒家の実家の扉を開けると、母や祖父母が出迎えてくれた。

4人で少しゆっくりしてから、祖父と2人で話す機会ができた。

祖父はとある会社の社長だ。

あまり聞かないことにしているが、大きな会社であるらしい。

祖父が先に口を開いた。

「豹は、よく眠れているか?」

「うん、最近は薬の影響もあって、ずっと寝ているよ」

「そうか……睡眠は大事だからな。実は今度イタリアに行くことになってな」

「えっ」

私は驚いて祖父を見つめたが、祖父は変わらずに落ち着いていた。

「豹は飛行機の中では睡眠をとるか?」

「うーん、高校の修学旅行でサイパンに行くときに乗ったきりだからなぁ。その時は興奮で寝るどころじゃなかったよ」

「そうか。おじいちゃんは飛行機の中でノートパソコンを使うのじゃが、睡眠をとった方が良いと言われたことがあってな」

「まぁ、電車とかなら私はずっと寝てるかな。その方が下りた後に元気に活動できる気がするから」

「なるほどな……」

祖父は遠くのイタリアを見るように遠い目で窓の外を見ていた。

ーーー

本日は三題噺でした。お題は「イタリア」「社長」「睡眠」です。

このお話は実際にあったことを混ぜ合って架空を足したものです。

イタリアに行く話は完全に架空ですが、祖父が社長だったり、私が帰省で帰ってきたりなどは本当の話です。

睡眠の話をしたのは祖父ではなく大学のゼミの教授でした。その教授も社長でした。

そのときはお互いにお互いを説得してしまって、翌週会った時に先生は「海野の言う通りだ!」と言い、私は「先生の言う通りだ!」と言いました。良い思い出です。

日本では電車の中で眠ることに抵抗がありませんが、外国では泥棒に遭うことがあるので、注意が必要です。

あー、イタリアに行ってみたいなぁ。

-三題噺

Copyright© 海野豹の読書雑記 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.