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読書 感情心理学・入門

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今回は、心理学の勉強の一環で読みました「感情心理学・入門」の紹介をします。

1.著者情報と本の概要

「感情心理学・入門」の著者は、各章によって異なります。

合計7名の研究者が、それぞれの領域を9章に分けて記述しています。

編者は「大平英樹」さんが、担当しています。

私は、この本を図書館で借りました。

もし購入する場合には、1900円かかります。

この本は「有斐閣アルマ」シリーズの本です。

このシリーズの本は、4つのレベルに分類されます。

この本は、レベル3である「専門科目として学ぶ人」向けに書かれた本です。

2-1.定義

まずは「感情」という単語の定義から見て行きましょう。

この定義に従えば感情とは、自分自身を含めてあらゆる対象について、それが良いものなのか悪いものなのかを評価したときに人間に生じる状態の総体ということになる。

「感情心理学・入門」p.5 ll.15-17

このようにこの本の中では定義されています。

人によって良い悪いの価値判断は、異なるでしょうから、多種多様な感情の存在を表すことができますね。

2-2.囚人のジレンマゲームの解答

それでは、ここからは私が本書を読んで気になった部分を紹介していきます。

まず最初は、p.93のコラム7「進化の研究ツールとしてのコンピュータ・シミュレーション」の中に出て来るお話しです。

皆さんは「囚人のジレンマゲーム」というゲームをご存知でしょうか?

私は、大学時代に経済学を学んでいて、その中で少しだけかじりました。

これは、ゲーム理論と呼ばれる理論でして、人間が自己利益を最大にしようと行動をしても最適解にならない場合のゲームとして紹介されています。

囚人のジレンマゲームを簡単に説明すると、以下のようになります。

  • 参加者は2人
  • それぞれが「協力」または「非協力」を選択して、得点を競う
  • 二人とも協力であれば、二人とも高得点
  • 二人とも非協力であれば、二人とも低得点
  • 一方が非協力なら高得点、他方が協力なら低得点

簡単に書くとこのようなルールになります。

最も得点を高くするには、お互いに協力をすることが良い事は明白です。

しかし、自己利益だけを考えると、自分が非協力で相手が協力の選択肢の方が魅力的になります。

このため、経済学では介入を必要とするケースとして紹介されるのです。


さて、本書の中では、このケースに直面した時の最適な行動が紹介されていました。

ずばりそれは、最初は必ず協力し、その後は相手の行動をオウム返しするというものでした。

経済学で学ぶことは、最適解に自然にならないということだけであり、改善策については述べられません。

その為、この解答が私には新鮮に感じられました。

ゲーム理論で扱われるゲームは、現実世界でも起こりえます。

知っておいて損はないかと考えますよ。

2-3.日記の効果

本書のなかで、第7章で「感情と言語」というテーマで触れられる日記の効果を紹介します。

本書では、日記のポジティブな効果を示した実験が3つ紹介されています。

日常生活における怒り経験について、3週間にわたって日記を書く要領で筆記させた。その結果、筆記群においてネガティブな反すう傾向(否定的・嫌悪的な事柄を何度も繰り返し考え続ける傾向)が低減することが示唆された。

「感情心理学・入門」p.165 l.28-p.166 l.3

この実験によって、抑制した感情を日記に書くことによって、ネガティブな傾向が抑制されることがわかりました。

私は、よくネガティブな反すう傾向が出てしまうので、今日からでも日記をつけます。

二つ目の実験結果を紹介します。

感情的不協和経験の筆記にはポジティブな効果があることが示唆されたといえるだろう。

「感情心理学・入門」p.116 ll.23-24

感情的不協和(emotional dissonance)とは、実際に抱く感情と、クライアントに表出する(しない)ことを職務として求められる感情のずれによって生じる状態をいう。

「感情心理学・入門」p.166 ll.6-9

2つ目の実験では、サービス業などで働く人たちが抱える問題を解決する一助としてのアドバイスを得ることができました。

私自身も昨年までサービス業で働いていて、そのころは日記をつけていました。

やはり気持ちは、日記をつけている方が落ち着いていましたね。

もうひとつの実験結果を紹介します。

反すう的な自己注目(抑うつ症状と関連が深い)をしがちな人について、概念評価的に失敗経験を書かせる群(「なぜそのように感じたのか?」)と、経験的に書かせる群(その瞬間瞬間の気持ちはどうだったのか?)に分けて比べてみた。その結果、後者のほうが失敗に関する思考の侵入が少なかった。

「感情心理学・入門」p.170 ll.1-6

最後の実験は、日記の書き方に関する実験でした。

その時の気持ちはどうだったのかを書くことで、ネガティブな反すう傾向が減るというわけですね。

早速実践してみたいと思います。

3.まとめ

「感情心理学・入門」を読む事によって、自分の感情のコントロールの仕方を学ぶことが出来ました。

今日から実際に紙に日記を書いてみて、効果を実感したいと思います!

ではまた。

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