三題噺 創作 雑記

三題噺 「くノ一」

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体感的には、寒い冬。

しかし記録的な暖冬。

前年に比べれば暖かい日が続いているが、そのようなことも関係なしに寒い外だった。

私は、内側に居る。

温水プールの中だ。

外は寒いが、温水プールの中は、さらに生暖かい。

私は、水を蹴って泳ぎ出した。

クロールで端から端まで泳ぐ。

そして私がプールから顔を出すと、あの人はプールサイドに居た。

あの人。

私の依頼人。

男性とも女性ともとれる顔立ちのあの人。

勿論、私はあの人の性別などに興味がないので、気にしない。

私が興味があるのは、お宝だけ。


今回あの人から依頼された品は、小刀だった。

私にはよくわからないけれど、それはとても価値のある小刀らしい。

私は、ただスリルを求めてお宝を盗む賊だ。

お宝の価値そのものについては、あまり興味がない。

巷では、私のことを「くノ一」と呼ぶ者もあるらしい。

いいとも悪いとも思わない。

私は私だった。


小刀があるという一軒家に侵入する。

この家の主の部屋に小刀は、飾られているらしかった。

不用心なことだ。

私は、家の構造から考えて客間に向かうと、小刀が飾ってあった。

不用心なことだ。

私は小刀に手を伸ばす。

すると突然、やかましく「ビービービー」と大きな音が鳴った。

警報機だ。

しくじった。


私は小刀を掴んで急いで家を出る。

そして走る。

走って逃げる。

後方からサイレンの音が聞こえる。

私は、生暖かい冬の影響で出てきた名前も知らない花の芽を踏みながら、逃げた。


しかしその後、「くノ一」が現れる事は、二度となかった。


久しぶりに三題噺を書いてみました。

三題噺とは、3つのお題に沿ってお話しを作ることです。

今回のお題は「芽」「泳ぐ」「小刀」のみっつでした。

今回は、お題を無理やり最初や最後に連発しないことを考えながら構成してみたのですが、いかがでしたでしょうか。

面白いので、皆さんも三題噺、やってみてくださいね。

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