神経症でも楽しく暮らすことができるーー
本日紹介する漫画は「大原さんちのダンナさん このごろ少し神経症」です。
図書館の漫画コーナーでピックアップされていたので借りてみました。
私は元々コミックエッセイのジャンルが好きなので、サブタイトルに気づかずに借りてしまいました。
神経症のお話だと気が付いたのは、読む直前になってからでした。
私自身が統合失調症を患っていることもあり、精神病系のエッセイは何冊か読んだことがあります。
これらの書籍に共通して言えることは、何だか気分が重くなるということでした。
しかし本書は違います。
病気を持っているのは「ダンナさん」の方で、著者は「奥さん」の方です。
そのため、精神病になじみが無い方でも「奥さん」目線で一緒に読み進めることが出来ると思います。
神経症と言っても種類がありますが、本書の主人公のダンナさんはパニック障害に潔癖症、強迫性障害と様々な病気を複雑にこじらせています。
本書の中で一番共感できたシーンは、薬に関する記述でした。
私もよく上司に言われる言葉ですが「薬止めたら?」という一言です。
精神病というと理解に苦しむ方も多いようで、「私は薬なしで生きているのだからあなたも大丈夫に違いない」という方がいます。
その方は私が本当に病気が陽性で出ているときを知らないのでそう思うのでしょう。
我ながら引くような陽性症状が出ている段階を体験している自身としては、医者の指示なしに薬を減らす勇気はありません。
陽性症状は本当に恐ろしいのです。
また、私は緑内障を患ってもいます。
これは眼の視野が狭くなり、やがて失明に至る病気です。
緑内障は、薬で進行を止めることはできますが、視力を回復することはできません。
ちなみに緑内障は日本人の失明原因第一位です。
その理由は、自覚症状が現れた時には既に手遅れであるという特徴にあります。
私自身、左目の下半分が見えていませんが、人間の脳というものはすごいもので、右目からのデータでイメージ映像を写すので当人には普通に見えています。
そして右目でカバーできなくなって視界に異常が出たときに初めて気が付くのです。
しかし視界を回復させる方法はないので失明してしまう、という段階を踏みます。
私が初めて眼科を訪ねたのは、目を開けているのに目の前が真っ暗になったからでした。
その時の検査では目に異常がなかったので、恐らく内蔵系の異常だったようですが、原因は分からずじまいです。
ともかく、そのおかげで緑内障に気が付くことができました。
私が緑内障になった理由がはっきりしないので何とも言えませんが、幼い頃から暗いところで本を読んだり、ゲームをしたりしていました。
仕事でパソコンを使う方などには、一度緑内障の検査を受けてみることをお勧めします。
さて、その方は緑内障の薬も止めろと言うのでしょうか。
薬を止めたら失明するかもしれないのに?
自分自身も気づいていないだけで、緑内障が進行しているかもしれないのに?
答えはノーでしょう。
故に「精神病の薬など止めろ」という理屈は偏見であると言えるのです。
何だか本のレビューより私の話の方が長くなってしまいました。
神経症の人が近くにいる方の参考になる良書だと思います。
神経症に対する知識があまりない中、結婚まで踏み込んだ「奥さん」はすごい方だと思います。
そして現状を知ったからと言って即離婚しない「奥さん」…
愛を感じる一冊でした。
本日紹介した漫画
タイトル:大原さんちのダンナさん このごろ少し神経症
著者:大原由軌子
出版社:文藝春秋
定価:952円