目を覚ますと、暗い部屋のベットの中だった。電気を付けて周りを物色する。ドアを調べると施錠されていた。「チェックアウト時にはフロントにお電話下さい」という小さな張り紙を見つけた。そうか、ここはルームキーがないタイプのラブホテルなのか。
さて、男の俺がそのラブホテルで寂しく一人で眠っていた理由とは、謎の宗教集団に命を狙われているからだった。なぜ命を狙われているのかはよくわからない。ただ、俺にそのようなときに頼れる存在は探偵稼業を行っている友達くらいなものだった。
その友達が言うには、普通のホテルに泊まったのではすぐに相手に居場所がばれてしまう。身を隠すなら三流のラブホテルが一番だそうだ。確かに部屋は俺の意思にかかわらず施錠されているし、安全は安全かもしれない。少し軟禁されているような気持ちにはなるが。
さて、宗教団体のやつらは一体どうやってここを突き止める気だろうか?探偵の友達の身に危険はないのだろうか?そもそも、友達の推理は当たっているのだろうか?
一人で悶々と考えつつ、また部屋のベットに寝転がる俺だった。とにかく俺にできることは静かに待つだけだ。
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以上、本日の三題噺でした。今回のお題は「ラブホテル」「推理」「ルームキー」でした。今回は幼い頃に読んだ小説の一部の設定を拝借しました。「大沢在昌」さんの「アルバイト探偵」シリーズの「女王陛下のアルバイト探偵」です。
そちらの小説では軟禁されている人間は一国の王女でした。それを探偵の主人公が守る形でした。そして場所はラブホテル、しかも盗撮カメラ付きです。
この小説はかなり痛快で痛い表現も多かったですが、私は学生時代に叔父からいただいて読んでいました。結構オトナな表現も出てきたような気がします。今は叔父はいませんが、大切な思い出です。
皆さんも面白いので一読してみてはいかがでしょうか。
紹介した本
タイトル:女王陛下のアルバイト探偵
著者:大沢在昌