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小説 ワーキングマザー

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本日紹介する小説は「辞めない理由」です。碧野圭さんの作品で、PARCO出版から発売されています。

この小説の舞台はおよそ15年前の日本の出版社です。主人公の七瀬和美はワーキングマザーで出版社の副編集長を任されていました。

主人公の和美はバリバリと仕事をこなしていましたが、あるとき組織の陰謀により左遷されてしまいます。

それと同時に娘の絵里も学校でトラブルを起こします。仕事と家庭、両方で問題を抱えた和美は追い詰められていきます。

その際の描写に感情移入してしまいました。舞台は15年前の日本ですから、今よりもワーキングマザーに理解が無かった時代です。会社では子どもがいるから…、学校では働いているから…、と和美は両方から責められてしまいます。

それを庇った娘の絵里の言葉に、私も涙を流してしまいました。私はワーキングマザーの経験はありませんが、目指していた時期がありました。こんなにも壮絶なのかと絶句してしまいました。

小説の中盤までは割と暗めでシリアスな展開が続きます。明るい感じになって来る時期は、和美が左遷先の部署の部員に助けを求め始める所からです。

それまで和美は仕事も育児も全て一人でこなそうと頑張り続けていました。しかしどうにもならない事態に直面して、周りに助けを求めることで、次第に状況が開けて行きます。

和美の夫の治彦も家事や育児に消極的だったものの、徐々に協力的になって行きます。

仕事は一人で抱え込むものではない。家庭と仕事の両立の難しさ。それを私に教えてくれる一冊でした。

また、シリアス展開が多いお話でしたが、最後はハッピーエンドにしてくれたことにほっとしました。働く女性に読んでもらいたい一冊でした。

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