目次
1.著者情報と本の概要
「地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」」を紹介します。
この本の著者は「細谷功」さんです。
ザカティーコンサルティングのディレクターさんです。
東京大学工学部を卒業後、東芝を経てザカティーコンサルティングの前身の会社に入社しました。
この経歴を聞くだけでも、なかなか凄そうな人ですね。
本の概要としましては、独自に「地頭力」を定義して、それを鍛える為にフェルミ推定を用いる事を説明した内容となっています。
2.フェルミ推定
さて、早速登場したサブタイトルの謎の言葉「フェルミ推定」ですが、本書では次のように定義されています。
「東京都内に信号機は何基あるか?」「世界中にサッカーボールはいくつあるか?」といった、把握することが難しく、ある意味荒唐無稽とも思える数値について何らかの推定ロジックによって短時間で概数を求める方法をフェルミ推定という。
「地頭力を鍛える」p.40 ll.8-10
フェルミ推定で使ってよい物は、紙と鉛筆と3分間という時間だけです。
実際に例題を解いてみましたが、全く歯が立ちませんでした。
解答例を見ながら、全然考え方の方向性が違ったなぁ、とか。
常識として出て来る知識のレベルが高すぎる、などと感じていました。
この本では、フェルミ推定を繰り返して力をつけることで得られる力について語られています。
しかしフェルミ推定以外の方法についても、少しだけ触れられているのでパズルを解いたりなぞかけをしたりと、別の方法で訓練をしてみたいと考えています。
フェルミ推定以外の部分については、割愛させていただきます。
気になる方は、読んでみて下さいね。
3.究極の境地
本書の最後で語られる一番大切な部分、究極の境地について引用を交えながら説明していきます。
まずは、究極の境地に関する引用をご覧ください。
やはりそう簡単にX軸とY軸をTPOに応じてうまく使い分けるスキルというのが身につけられるわけではなく、それが漱石の「兎角に人の世は住みにくい」という言葉にもあらわれているのであろう。だが、これが地頭力を身につけたのちに「地頭型多能人」の目指す究極の境地なのだ。
「地頭力を鍛える」p.218 ll.7-13
この本は、この文章で締めくくられています。
この文章を紐解いていって、著者の目指す人間像に迫りましょう。
4.地頭型多能人
最初のキーワードは「地頭型多能人」です。
この言葉は、本書独特の表現かと思います。
定義は、こちらです。
これまで述べてきたように、地頭力の高い人は専門分野であるとないにかかわらずに収集した情報、既存の知識や過去の経験をもとにして「自らの考える力」で常に環境に適応しながら次々と新しい知識を生み出していくことができる。(中略)本書ではこうした能力を持つ人を「地頭型多能人」と定義する。
「地頭力を鍛える」p.34 l.15-p.35 l.10
「頭が良い」と一言に言っても、色んな頭の良さがありますよね。
この本では「知識・記憶力」「対人感性力」「地頭力」の3つに頭の良さを分類しています。
その中で地頭力を持った人を説明した文章が、上のものになります。
この本では、この地頭力多能人を目指してフェルミ推定を行っていくメリットについて説かれていきます。
「究極の境地」の引用にある、X軸とY軸というのは、X軸が地頭力で、Y軸が対人感性力を示しています。
ここからは、この二つの能力の定義について見て行きます。
5.地頭力
地頭力を本書では次のように定義しています。
そして最後のタイプが数学の問題やパズルを解くのが得意な「考える力」の強いタイプで、これを本書では「地頭がいい」タイプと定義する。言い換えるとあらゆる問題解決をする上での基本となる考える力が地頭力といってもよい。
「地頭力を鍛える」p.16 ll.10-12
引用部分以外についても、地頭力やその鍛え方について詳細に説明されていますが、今回はここまでと致します。
全てを説明しようとすると、本書をまるまる引用する形になってしまいます。
私は、この文章からパズルを解くことを始めました。
以前は、パズルが解けない事が嫌でパズルが、嫌いだったのですが、少しやってみると案外楽しい物でした。
フェルミ推定が難しすぎると思う方は、パズルから始めてみると良いかもしれませんね。
6.対人感性力
次に必要な能力として語られている能力が「対人感性力」です。
その定義は、以下のようにされています。
二番目に必要な能力が対人感性力である。「場の空気が読める」という、理屈では説明のできない能力がこのタイプの人の有する特殊能力である。
「地頭力を鍛える」p.18 ll.10-11
コメディアンなどに見られる、鍛えることが難しそうな能力のことですね。
傾向としては、苦労してきた人に多いような印象があります。
地頭力の上に対人感性力をがあることによって、論理だけの堅物にならずに相手を説得できるようです。
7.まとめ
まとめると、以下のようになります。
「考える力」と「場の空気を読む力」を場合に応じてうまく使い分けるスキルを身につけた「自ら考える人間」が目指す境地であり、そこに到達するにはフェルミ推定による訓練が適切である。
このように私は、まとめて終わりたいと思います。
皆さんも、一度フェルミ推定を体験してみて下さい。
ひえぇ~となりますよ。