本日は、久しぶりに本を読み終えたので、その本に関する記事を書きます。
目次
1.本の概要と著者情報
今回紹介する本は「大人の時間はなぜ短いのか」という本で「一川誠」さんが著者です。
著者は、千葉大学文学部行動科学科の准教授さんです。
本作以前にも、共著ではありますが、3冊ほど執筆されている様子です。
集英社新書から2008年に出版されています。
本書の目的は、以下の引用の通りです。
物理的には同じ時間が経過しているのに、感じられる時間の長さが異なるのはなぜかーー。
「大人の時間はなぜ短いのか」p.4 l.3
楽しいことはあっという間だったり、退屈な会議は長く感じたりしたことのある方も多いのではないかと思います。
本書でその謎を解きほぐすことができる、そういう目的で書かれた本です。
また、本書の最後は、以下の言葉で締めくくられています。
読者一人一人が、個々の見解や知識に従って、この道具の使い方を試し、使いこなす方法を探っていただければ幸いである。
「大人の時間はなぜ短いのか」p.196 ll.13-14
この引用の中の「道具」とは「時間」のことです。
時間という概念は、元々不思議なものですが、それが道具とは、どういうことなのか?
そしてそれを使いこなす方法とは?
その部分について簡潔にまとめることを目指して、記事を書いていきます。
2.時間には種類がある
まずは、時間の種類について整理していきます。
私は、本書を読むまで、時間に種類があるとは知りませんでした。
私が想像する時間といえば、いわゆる時計の時間です。
時計の時間は、以下のように本書では説明されています。
多くの現代人が「客観的時間」というものを想定している。これは、時計の針が刻む「公共の時間」、いわば「時計の時間」である。
「大人の時間はなぜ短いのか」p.23 ll.2-3
時計が刻む、生活に浸透した時間のことですね。
スケジュールを組めるようになるなど、便利な概念です。
それに対する個々の人間のリズムは、以下のように説明されています。
同じ人であったとしても、同じ長さのはずの1時間がなかなか過ぎないように感じられたり、あっという間に過ぎてしまったように感じることがある。
「大人の時間はなぜ短いのか」p.117 ll.4-6
感じられる時間と物理的時間の進み方の違いは、心的時計、または内的時計と実際の時計の時間の進み方の違いとして、考えることができる
「大人の時間はなぜ短いのか」p.119 ll.11-12
時計の時間と、個々人の時間感覚がずれることによって、時間を速く感じたり、遅く感じたりするわけですね。
3.現代社会の高速化という問題点
さて、現代社会における時間の問題点を、本書では3つ挙げています。
現代社会の三つの問題点ーー時間の厳密化、高速化、均質化
「大人の時間はなぜ短いのか」p.141 l.7
この3つですね。
すべてを説明することは大変なので、その中でも高速化を紹介したいと思います。
高速化の問題点は、以下のように説明されています。
情報通信や移動の高速化によって、やりたいこと、できることが増えるのに対し、実際にできる事柄はそれほど増えるわけではないので、欲求不満や忙しさの感覚が以前よりは増しているのではないかという問題である。
「大人の時間はなぜ短いのか」p.188 ll.1-3
確かに現代は、手紙でやりとりしていた時代に比べれば、あっという間に連絡を取ることができるようになりました。
しかし手紙よりもメールの方が所要時間が少ないとはいえ、時間はやっぱりかかるものです。
その時間を計算しながら予定を組んでいかないと、時間という資源を有効的に活用することが難しくなります。
高速化した現代に対して、本書が対処法として示しているのが、以下の方法です。
何がしたいのか、事柄を紙に列挙してみる。次に、それぞれの事柄に対して、どの程度の時間が必要かを書き出す。そして、そこに挙げられた時間はどのようにすれば確保できるのかを考えてみる。
「大人の時間はなぜ短いのか」p.188 ll.4-6
実際に私も試してみました。
やりたいことリストを作ってみたり、重要と緊急で割り振ってみたりした後に、所要時間を書き込んで優先順位を付けて行きます。
所要時間を書き込むことで、優先順位をつけることが簡単になりました。
所要時間の短いものから、基本的にはこなしていく形になるからです。
また、私は仕事をしていた時には、時間をもらうことが苦手でした。
自分の作業がどのくらいの時間を必要とするのかを想像することが、苦手だったからです。
そのための訓練にもなるのかもしれない、そう思いました。
4.まとめ
さて、今回は時間に関する本である「大人の時間はなぜ短いのか」という本を紹介しました。
時間というものは、有限です。
有限な時間という道具・資源をどう有効に分配していくのか、考えるきっかけになれば幸いです。