三題噺

三題噺 「バレンタインデー」

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今日はバレンタインデー。

普段はお菓子作りなどしない私もチョコレートを溶かして固めるだけの手作りチョコを作った。

可愛い雑誌に書いてある通りに作ったチョコ。

私の精一杯の可愛いが詰まっている。

これをあとは渡すだけ。

チョコに手紙も付けたし、あとは渡すだけなのだ。

しかしそれがうまくいかない。

待ち合わせ場所で待っていると、別の女の子がやって来た。

その子は私よりも先に彼にチョコを渡してしまった。

そして告白というやつを私は目撃してしまった。

彼もまんざらでもない様子だった。

それを見ていた私の手の中でチョコレートを入れた箱が軋んで壊れた。

もし殺人が罪でなかったら、私は衝動に任せてしまっていたかもしれない。

もう私は彼に渡す物を持っていなかった。

私は一人で家に帰ろうとした。

しかし彼に呼び止められた。

彼は私の様子を見て、今の告白を見られていたことと、私の用件を察したようだった。

突然泣き出す私を前に、彼はどうすればよいのかわからない様子だった。私もわからない。

ただ、彼は私のチョコレートを受け取ってくれた。

箱も壊れて、中身が無事なのかすらよくわからないチョコレートを受け取ってくれた。

そして翌日、彼は私に手紙を渡した。

そこには私を笑顔にしてくれる内容が書かれていた。

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本日も三題噺です。お題は「チョコレート」「雑誌」「殺人」です。

季節には合わないですが、雑誌とチョコということでバレンタインの話にしました。

今回のお題の「殺人」が強烈すぎてミステリーにするかと思いましたが、ミステリーにすると今度は「チョコ」と「雑誌」が邪魔をするという少し難しいお題でした。

本当は最後に主人公には涙を呑んでもらおうと思っていたのですが、何だか可哀想に見えて来てハッピーエンドにしました。

やっぱり虚構の世界でくらいは、ハッピーでいたいですよね。

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